入念に災害対策や備蓄をしていても、実際に災害が起きて「想定外」が判明することも多い。
東日本大震災で思わぬ現実に直面した保育所の切実な声に応え、「3人抱き」の抱っこひもを開発した日本エイテックスの北出 卓也さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークス防災・危機管理号Vol.2(2019年10月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 日本エイテックス株式会社
災害発生時の初動における必需品
「子育て支援」と「災害対策」、それぞれに力を入れている自治体は多いが、「子育て世帯の災害対策」となると、現状の対策は十分だろうか?たとえば避難時の、子どもたちの安全確保。特に乳幼児には手厚い対策が必要となる。備蓄品として、紙おむつや離乳食、粉ミルクなどは広く認識されているが、見落とされがちなのが「抱っこひも」だ。抱っこひもの有無で、避難時の安全確保が大きく変わることもある。しかしその事実に反して、家庭でも自治体でも備蓄が進んでいないのが実状だ(編集部調べ)。
最も影響を受けるのが、多くの乳幼児が過ごす保育施設。子どもたち全員を守るためにはスムーズな避難と安全確保が何より重要になる。育児用品を手掛ける日本エイテックスが、「3人抱きキャリー」を開発したきっかけも、東日本大震災で被災した東北地方の保育所からの「3人用抱っこひもを作ってほしい」という依頼だった。
被災した保育所からの切実な声
同社では、一般的な抱っこひもや双子用の抱っこひもを製造していたが、3人用はラインナップしていなかった。しかし、保育所では0才児3人に対して保育士1人を配置するよう国の基準で定められており、災害発生時には1人の保育士が0才児3人を避難させることになる。多くの保育所では、乳幼児数人が搭乗可能な「避難車」を保有しているが、被災園からの要望は「災害発生時には、現場の状況に合わせて臨機応変な対応が求められる。避難車よりも子どもを抱えて移動する方が確実なので、それができるようなツールが欲しい」というものだった。
現場の声に応えようと日本エイテックスは開発を進めた。北出さんは当時の様子をこう語る。「安全面の確保と負担軽減の両立には工夫を重ねました。0才児とはいえ、3人だと30kgくらいの重さになります。その重量を分散して保育士を動きやすくし、迅速な避難ができるようにと、ベストタイプを採用しました」。試行錯誤の末に商品が完成。リリース後には「簡単に装着できる」「抱っこしても足元が見えやすく安心感がある」などの声が多く寄せられたという。
「子育て世帯の災害対策」は想定外に備えることから
日本エイテックスでは、この商品開発を機に、備蓄向けの1人用抱っこひもや、親子で使える防災ポンチョなども新しくラインナップした。こういった避難ツールは保育所や家庭における災害対策・備蓄品としても大切だが、地域への啓発や、自治体での備蓄も重要だ。
「災害発生時は、十分にシミュレーションしているつもりでも思わぬ問題に直面するもの。このような“想定外”を一つでも減らし、安全を確保することに貢献できれば嬉しい」と語る北出さん。災害弱者を守るための備蓄は、地域の子育て世帯の安心を深めることにも繋がっていくことだろう。
お母さんたちがより安心できる環境になればと語る北出さん。
被災現場の声から誕生した子どもを守る抱っこひも
日本エイテックスでは、前述の3人抱きキャリー開発のノウハウを生かして、様々な災害対策商品を展開している。必要とされる機能がコンパクトに詰め込まれた商品は、全て安心・安全の日本製だ。
「抱っこ」は日常的に行う行為だからこそ、迅速な対応だけでなく子どもの安心感にもつながる。
各保育施設に
避難くん 避難用3人抱きキャリー
被災園からの要望を受けて開発
●日本テレビ「世界一受けたい授業」をはじめ、 メディアでも多数紹介!
●第9回 キッズデザイン賞 審査委員長特別賞受賞
・保育士1人で3人の乳児を保持して同時避難
・いざという時にすぐに装着できるベストタイプ
・前面は左右サイドに抱っこするので 足元が見えやすく安全
自治体や施設での備蓄に
避難くん避難用コンパクトキャリー
・対面抱っこにもおんぶにも使用可能
・コンパクトに収納でき備蓄にも最適
・リフレクター(反射材)+ホイッスル付き
避難用フード付きポンチョ
・頭からサッとかぶるだけで保護者と 子どもを同時にカバー
・リフレクター(反射材)+子ども用の フードを固定できるクリップ付き
・付属の収納袋は壁掛けができ、取り出しも簡単
災害対策の備蓄品に、プラスアルファの思いやりを
当社の製品が、防災という面において、子育て世帯が安心できる地域づくりの一助になればと願っています。他にも様々な災害対策商品をラインナップしておりますので、気軽にお問い合わせください。