大震災の教訓を生かした災害情報配信の形
災害発生直後に住民に知らせるべき内容は、被害情報や避難所の開設情報をはじめ多岐にわたる。情報伝達手段の多重化や多様化が叫ばれる中、備えは十分だろうか。大災害の経験を教訓に変え、情報伝達のあり方を模索し続けてきた石巻市の事例を紹介する。
※下記はジチタイワークスVol.10(2020年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]バイザー株式会社
無線に頼る音声での情報伝達で、技術的限界をひしひしと痛感。
平成23年の東日本大震災で、最大の被災地となった石巻市。当時の主な情報伝達手段といえば防災行政無線だった。
語間を開けてゆっくり放送するため、全ての情報を伝えるのに時間がかかる。「開設する避難所が増えれば増えるほど、放送に時間がかかり必要なタイミングで情報を届けられず困った」と石巻市の武山さん。しかも平成17年の大合併後、運用方法が統一されず、全域カバーもできていなかった。窓を締め切った部屋の中にいると、放送はほとんど聞こえない。「情報が聞き取れない、分からないというお叱りをたくさん受けました」。
防災メールも前年から実施していたが、登録を開始したばかりで登録者数はおよそ1,200人にとどまり、文面のつくり方も手探り。決して十分に機能しているとは感じられなかった。
「伝えられる情報量を考えると、やはり文字に勝るものはありません。文字データをしっかり活用しなくてはと考えるきっかけになりました。そして高齢者にも届くよう、情報の多重化と多様化に舵を切らなくてはと痛感したんです」。
その解決策として、石巻市では平成25年に大規模な防災システムを導入。メールの配信システムも構築した。ところが「東日本大震災クラスの大規模災害を想定してつくったために、機能が多く操作も複雑すぎて。メール1通を送るのにも、マニュアルを開かなくてはなりませんでした」。
震災後の石巻市の様子
[出所:東日本大震災アーカイブ宮城(石巻市)提供者:アジア子ども夢・東北エイド]
文字情報の配信を容易にする「すぐメールPlus+」。
そんなときに出会ったのが、住民向け一斉情報配信システム「すぐメールPlus+(すぐメールプラス)」だった。
ワンオペレーションで、メールやLINE、各種SNSなどへの一斉配信が可能。セキュリティも全国の公共団体の基準をクリアし、「バイザー」の提供するシステムは、400を超える自治体・公共団体で導入されている。
導入して実感したのは、操作の簡単さだったという。メールを送る際は、件名や本文などを入力するだけ。あらかじめ設定したアドレス宛にテスト配信もでき、よく使う文面はテンプレート登録も可能だ。
「メッセージの管理画面がシンプルで、直感的に使えます。先日も後輩に操作の説明をしたら、3分で使えるようになりました。人事異動のことを考えると、誰でも使いこなせる操作性はかなりの魅力です」と満足げな表情だ。
業務の軽減で生まれる余裕が、防災対応レベルを押し上げる。
導入したメリットとして、武山さんが挙げるのが業務の軽減だ。これまで2~3名いた情報配信担当も、すぐメールPlus+なら1名で十分対応できる。「誰でも操作できるので、将来的には、そもそも担当を置く必要がないかもしれません」と期待を寄せる。
そして本当のメリットは、業務が軽減したからこそ生まれる“余裕”だという。東日本大震災当時、携帯電話宛てにメールを送るには、各通信事業者の専用ページにログインしなければならず、メールやSNS配信に1名、緊急速報メールに1名、文字配信に2名という複数体制を敷いていた。
「今は複数名が張り付く必要がありません。こまめな災害情報の配信に集中でき、より精度の高い防災対応が展開できる意義は大きいと感じています」。
実際にすぐメールPlus+を導入してからは、災害時の情報配信数が圧倒的に多くなった。SNSからリアルタイムな情報を収集する余裕もできたという。配信文面の工夫にも時間を割けるようになり、読みやすく分かりやすい情報提供ができるようになった。住民からも「最近情報が細かくなってありがたい」という声が寄せられているという。
「余裕というのが、災害対応の中ではすごく大きい」と武山さんは強調する。大震災をきっかけに模索し続けてきた情報配信のあり方が、いま実を結んでいる。
宮城県 石巻市
総務部 危機対策課 災害対策グループ
武山 壯さん
日本を揺るがした巨大地震の数々情報伝達手段はどう変化した?
阪神・淡路大震災が起きた平成7年、「Windows95」が発売された。それ以降インターネットが急速に広まり、震災においても情報伝達手段の主役となる。情報を広く、そして確実に伝えるためにも、今後は情報伝達手段の多重化と多様化が大きなポイントだ。
すぐメールPlus+のポイント
1.ワンオペで多方面に多言語にも対応
ワンオペレーションで、メールやアプリ、各種SNSなどに情報を一斉配信することができる。自動翻訳機能があり、多言語対応も可能だ。
2.防災行政無線との連携も可能
防災行政無線と連携させておけば、無線操作卓で入力したテキスト情報を無線で放送し、住民があらかじめ登録したメディアにも配信することができる。無線メーカーとの連携実績は多数あり!
防災アプリとの連携
アプリならでは通知方法を活用
多メディアでの情報配信だけでなく、防災アプリを導入し、活用することで、より気づきやすく、分かりやすい多様な情報配信が可能になる。
CHECK
◎自治体がアプリを運用する際のよくある課題とその解決のヒントについてはコチラで紹介!
すぐメールPlus+の防災分野での導入事例は、石巻市以外に多数あり!自治体規模に合わせた導入事例が知りたい方は気軽にお問い合わせを。
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