滞納整理をする際に欠かせない財産調査。これらの業務負担を軽減してくれるシステム「DAIS」が今、注目を集めている。実際に使用している高知県中央西県税事務所の所長・松岡 俊道さんにインタビューした。
※下記はジチタイワークスジチタイワークスVol.8(2019年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]日本ATM株式会社
煩雑な手続きに時間がかかり負担の大きい財産調査
税金の滞納は、多くの自治体職員の頭を悩ませる問題だ。滞納は財政の圧迫につながり、納税義務の公平性から見ても、督促後は迅速な財産調査と厳正な滞納処分が求められる。しかし、このうち財産調査は手続きの煩雑さが大きな障壁となっている。預貯金照会の際、自治体は金融機関ごとの異なる書式に合わせた依頼書を郵送し、戻った調査結果を基に分析し、必要があれば追加調査を行う。これは自治体と金融機関の双方に書類作成や郵送の手間がかかるだけでなく、調査自体にも数週間から数カ月の期間を要する。
結果、滞納整理の着手までにかなりの手間と時間を費やす。「高知県でも、納税相談への対応や財産調査業務の比重が増加傾向にありました。滞納発生直後に行う業務のうち特に負担の大きい財産調査を効率化して、問い合わせ対応と対策検討のための時間を確保できないかと考えていたのです」と高知県中央西県税事務所・所長の松岡さんは語る。
最短で翌営業日に回答が!?調査の迅速化に期待
そんな悩みを解決するのが、日本ATMが開発した預貯金照会システム「DAIS」だ。一つの調査対象者リストを作成・登録するだけで、一度に複数の金融機関への(DAIS導入済の機関に限る)照会依頼が可能に。さらに従来、金融機関ごとに異なる形式で保管していた口座の取引明細についても、照会フォーマットの統一および処理の電子化により、回答データの管理と検索を容易にし、業務効率化が期待できる。
高知県では、平成31(2019)年4月に導入に踏み切った。松岡さんは「事務負担の軽減と効率化の必要性は感じていましたが、具体的な対策は正直ありませんでした。しかし、これまで早くても1~2週間かかっていた金融機関からの回答が、最短で翌営業日に届くという点には非常に魅力を感じました。実際に使ってみると、各段に業務効率が上がりました。また、導入前に心配してた費用面についても、前年度並みで推移しています」と、力強く話す。
現状、各金融機関へ照会依頼をしているが、預貯金照会システム「DAIS」を導入すれば一括で照会依頼が可能になる。
「DAIS」浸透の先には税負担の公平化がある
「我々の本来の目的は調査ではありません。調査後に、いかに滞納者を納税者へと変えられるかが重要です。今回、調査負担が減ったことで確認後の処理に時間を割けるようになったのは大きな変化でした」と、松岡さん。事務処理の迅速化により、滞納発生から完結までの期間も明らかに短くなったと実感している。
「DAISは一部の地域だけが導入しても意味がありません。全国の自治体が利用し『滞納を放置すると大変なことになる』と意識付けることで住民の納税に関する意識が高まるのです。そうすれば、税負担の公平化を実現できる未来も、そう遠くないかもしれません」。
インタビューに答える松岡さん。
財産調査のコストを削減!預貯金照会システム「DAIS」
これまで行政機関と金融機関が行ってきた紙ベースの口座照会業務をワンストップで行うシステム。「DAIS」が間に入り、一括して依頼や回答を振り分けるため、調査に関わる業務を効率・迅速化し、負担を軽減できる。
DAISの概要
松岡さんに聞く「DAIS」導入後のメリット
①最短で翌営業日の素早い回答
これまでは「納税資金がない」と言われれば、それを信用するしかありませんでした。導入後は、迅速な回答で得た預金調査結果が手元にあるので、それを基に対応できるようになりました。
②ペーパーレスとセキュリティ強化
従来の紙でのやり取りは、郵送時や保管時に情報の取り扱い方法について不安がありました。しかし、ペーパーレス化が実現し、さらに安全なネットワークを介したやり取りが可能になり、セキュリティ面も強くなりました。
③シンプルで使いやすいシステム
「DAIS」のシステムは非常にシンプルで使いやすいため、特別な知識がなくても利用できます。素早い対応が可能になったことで、早期決着につながっていることを実感しています。
導入実績
2019年12月10日時点で全国37行政機関で導入※
【行政機関】地方公共団体コード順
夕張市、滝川市、倶知安町、つくば市、小山市、千葉市、船橋市、丸亀市、まんのう町、愛媛県、高知県、高知市、南国市、土佐市、須崎市、宿毛市、土佐清水市、四万十市、香南市など
【金融機関】金融機関コード順
北海道銀行、北陸銀行、伊予銀行、四国銀行、琉球銀行、愛媛銀行、高知銀行など
※導入準備中も含む
DAISが行政×金融のデジタル化の強い味方に!
日本ATMは数多くの金融機関との取引実績を有しており、DAISで照会できる金融機関も順調に増加しております。また預貯金照会の電子化を取り上げた「デジタル・ガバメント実行計画」の実現に向けて、政府機関とも連携しております。