今回のオンラインセミナーでは、コロナ禍で打撃を受けた地方経済を再生させるEC展開について、まちづくりの専門家とECのプロがノウハウを惜しみなく公開。当日の内容を概要版でお伝えします。
参加できなかった方は、次回のセミナー開催にご期待ください。
概要
■タイトル:デジタル変革による地域活性化 ~簡単EC導入で地域産業改革~
■実施日:11月10日(火)
■参加対象:自治体職員
■参加者数:88人
■プログラム:
Program1
地域経済の移り変わり〜疲弊していく自治体と発展していく自治体の違い〜
Program2
Withコロナで生き残るための地域事業者の取り組み〜導入費用0円 スマホでできるネットショップ〜
Program1 :地域経済の移り変わり
〜疲弊していく自治体と発展していく自治体の違い〜
全国的に経済が落ち込んだコロナ禍にあっても、元気なまちは存在する。そうした地域は何が違い、どんな工夫をしているのか。地域経済の専門家の視点で、木下斉さんがヒト・モノ・カネの動きを分析する。
<講師>
まちビジネス事業家
一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事
木下 斉さん
人とお金はどこに流れているのか?
新型コロナの影響で、地域経済にも様々な変化が出てきました。ただ、私たちが認識しなければならないのは、時流は20年ほど前から変わり始めていたということです。2019年のECサイトの市場規模は10兆515億円でした。前年比6.7%の成長で、着実に伸び続けています。これは“売り場を持って販売する”方式からネットの方へ人もお金もシフトしていることを意味します。
百貨店を参考にしてみましょう。百貨店市場は年率約6%で縮小し、市場規模は5.4兆円です。閉店する事例も全国で相次いでいます。では百貨店が無くなることで地域が受けるダメージはというと、経済面での影響は限定的で、むしろ住民のマインドに与えるものが大きいのです。“地域のランドマークが無くなる”というのは寂しいことですが、そこに固執するよりは、視点を変えた方がいいのです。
ECで“モノ”の流れに乗る
そこで地域や自治体はどうするべきか。“伸びしろのある市場”を狙いつつ“限定的な投資”をする、というのが答えです。つまり、ECを使わない手はないのです。さらに、ECには地方が抱えている人口減少の問題に対応する力があります。国内の生産年齢人口は年々減り続け、非効率労働を引き受ける人もいなくなっていきます。ここではECの“省力化”という強みを活かすことができるのです。
成長市場への取り組みと、生産性の高い業務体制の構築が重要!
コロナは地方経済に大きな打撃を与えましたが、“ヒト”の移動は激減しても“モノ”は確実に動き続けています。例えば、九州のあるパンケーキ屋さんは、地元の厳選素材でパンケーキを作っており、値段も比較的高額ですが、コロナ禍でも注文が途切れませんでした。これは以前からネット販売に力を入れていたため、オンライン対応のフローがしっかりできていたからなのです。
ECのショップは24時間稼働でき、キャッシュレスで確実な集金ができます。人手不足はロジスティクスサービスによる発送業務の効率化などで対応可能。零細企業ほど、こうした仕組みが有効です。
成功の秘訣は「2階建て地域産業政策」
また、地域経済におけるネット化推進・EC活用においては、「2階建て地域産業政策」が要になるという点も見落としてはなりません。これは、地元の固定客をしっかりつかむという基盤(1階部分)の上で、外部経済にも力を入れる(2階部分)という構造です。
●1Fは地元経済
地元経済は縮小していくが、ゼロにはならない。コロナ禍のような状況でも地元の固定客をしっかり握りつつ、付加価値を上げて常連さんとのリレーションシップを図る。
●2Fは“外部経済”
ネットの拡散力を利用して、地域外からのヒト・カネの流入やインバウンド獲得を図る。
地方であるほど需要不足や人手不足の問題が深刻で、その反面ネット活用はできていない傾向にあります。これを解決するには自治体の力が必要です。地元の各店舗や企業がビジネスをやっていく上で、ネット化推進・EC活用ができているところを評価し、地域のモデルケースとして取り上げることで、地元に変化を起こすことが可能になります。ただし、巨額の資金をECに投入したりすると、前述の巨大商業施設に投資した結果と同じ結末になるリスクがあるので、その点は注意が必要です。
[参加者とのQ&A] ※一部抜粋
Q:EC化を進めるには、まず何から実施すればいいのでしょうか?例えばふるさと納税の事業者を巻き込んでECサイトを立ち上げるといったことでしょうか?
A:ご提示のような、事業者に声掛けをしてWebサイトを立ち上げるといった動きは20年ほど前からあったのですが、あまり効果的ではありませんでした。それよりも、前述のようにネットを活用している事業者を“旗手”として、そのやり方を広げていく方が効果的です。
Program2:Withコロナで生き残るための地域事業者の取り組み
〜導入費用0円!スマホでできるネットショップ〜
ECへの参入は多大なメリットがあるのに、なぜ事業者は及び腰なのか。一歩踏み出せない理由と、その解決法、さらにまちを盛り上げるポイントを、実際のEC導入事例を交えつつストアーズ・ドット・ジェーピーの上野さんが語ってくれた。
<講師>
ストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社
広報PR
上野 敦稀さん
<ストアーズ・ドット・ジェーピーについて>
商売のデジタル化を支援する企業。オンラインストア開設の「STORES」、キャッシュレス決済の「STORES決済」、オンライン予約システム「STORES予約」などを手がけつつ、ECプラットフォームの展開を通じて、事業発展を支援している。
進化・変化を遂げながら成長するEC市場
ECの市場は世界的に活況で、売上も上昇を続けています。日本国内も同様ですが、世界水準と比較すると普及率は低く、大きな可能性を秘めています。
例えばSTORESでも、ECショップ開設数は2020年3月から4月にかけて150%の伸びを見せ、食品系は400%、サービス業は500%という伸長ぶりです。では、なぜここまで増えるのでしょうか。答えは「ECが便利だから」の一言に尽きます。ECは、売り手、買い手の双方にとって、距離や時間の障壁がなく、売り手にとっては“資金”という障壁もないからです。
さらに、ECの浸透は新たな消費の形もつくり出しました。商品説明や顧客の接遇を行う「オンライン接客」や、習いごとの「オンラインレッスン」などが代表的な例です。オンラインで料理教室をするので、ネットショップで素材を注文し、参加者全員の自宅に宅配するといった使い方も生まれています。
<ECが伸びた4つの理由>
・そもそも、コロナ以前から着実に伸び続けていた
・コロナ禍で、さらに急角度で伸びた
・ネットで新しいエンタメの商品やサービスが誕生した
・実店舗からECショップへの流れが増えた
「できない理由」よりも「やるメリット」を
これらの要因でECは活発になりましたが、まだ始めていない方も多くいます。当社でヒアリングしたところ、以下のような回答が目立ちました。
・時間がない
・ECビジネスのノウハウがない
・集客に自信がない
・ネットのスキルがない
確かにこれらの理由は、小規模店舗などにとってハードルになるかもしれません。だからといってECの可能性を捨てるのは非常にもったいない話です。この課題を解決するのがSTORESのサービスです。
<STORESにできること>
・ECショップの作成から運営までをスマホでもPCでも簡単にできる
・2つのプランがあり、0円でもECショップがオープンできる
・プログラミングの知識などは一切不要
・決済手段は多種多様なニーズに対応。コンビニ振込でもカードでもOK
・ブログに組み込むこともできる拡張性
・受注後、商品ができてからお届けという流れでもOK
・キャッシュフローも迅速
当社では、月に約1万の店舗が新規オープンしています。業種も様々です。例えば、岡山県のいちご農園は、コロナ禍でいちご狩りなどのイベントができなくなりましたが、ECショップを開設し、いちごを使ったジャムやジュースを販売することで、減ってしまった売上を穴埋めできるほどの効果を上げました。こうした例は枚挙に暇がありません。
自治体が主導して地域のデジタルシフトを加速!
自治体との取り組み例も多くあります。秋田県大館市の「まるごと体験推進協議会」と秋田銀行、当社が連携して、STORES決済で民宿を営む農家のキャッシュレス化を推進した、といった事例です。群馬県富岡市でも、世界遺産の富岡製糸場において、同様の仕組みを導入しました。EC推進を行う際には、地域から不安の声が出るかもしれませんが、STORESでは地域ビジネスのオンライン化・デジタル化をお手伝いする無料のセミナーを、自治体と一緒に開催しています。
自治体側の負担は会場確保と集客、交通費や宿泊費程度です。これまで、品川区と協力して五反田の飲食店へのセミナーを行ったり、京都府の農林水産部署と連携して青年農家に野菜を持ってきてもらい、写真を撮ってネットショップをつくったり…といったことを行ってきました。
地域経済のデジタルシフトは今後さらに重要になっていきます。それには、自治体の推進力も必要です。EC推進による地域の活性化を、ぜひお手伝いさせてください。
[参加者とのQ&A] ※一部抜粋
Q:決済手数料はクレジットカード会社とSTORESの両方に支払う必要がありますか?
A:STORESへの支払いのみで大丈夫です。オーナー様のご負担は、売上に対し3.6%〜5%程度の決済手数料なので(プランにより変動)コストを非常に抑えていただくことが可能です。
お問い合わせ
ストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社
E-mail:seminar@hey.jp
担当:上野
所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東3-16-3 エフ・ニッセイ恵比寿ビル4階
URL:https://stores.jp